哺乳類以外の脊椎動物における性の決定
鳥類では、性染色体は雄がホモで雌がヘテロである。そこで雄の性染色体をZZ、雌の性染色体をZWと呼んでいる。鳥類でも性染色体によって性の決定が行われるが、哺乳類ほど厳密ではない。
哺乳類の性染色体が生殖腺の性分化を決めていたのと異なり、爬虫類のワニやカメになると、性染色体による性の決定はもっと大まかになる。これらの種の性は、受精後の卵がおかれた環境によって決まる。孵化のときのほんのわずかの温度の影響で、性比が大きく異なるのである。
多くの場合、低温で孵卵が進むと一方の性になり、高温で孵卵をすると反対の性になる。性比が50%になるのはごく限られた温度の幅で、多くの場合はどちらかの性に偏ってしまう。次の図は、左からカミツキガメ、アカミミガメ、ミシシッピワニの孵卵の温度によってる性比が異なることを示す実験結果である。
これらの種では、性ホルモンが性分化に重要で、温度が低くても高くても、エストロジェンオを投与すると雌になる。温度は生殖腺と脳における芳香化酵素の活性を調節して、性ホルモンの産生を変えることによって性分化を調節しているのではないかと考えられている。
魚類では性分化はもっと大まかで、性転換が容易におこる場合もある。社会的な要因が強く働き、ある集団内に雌がいなくなると、一番大きな雄が性転換をして雌になる種がいると思えば、先に雌として成長し、ある大きさになると雄になる種がいたり、逆に最初が雄で後で雌になる種がいたりして、なかなか複雑である。いずれにしても魚類では、性転換はそれほど珍しいことではない。
性転換や性の決定の生態学的な意味については、まだまだ多くの研究が必要とされている。
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