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第2部はギター伴奏とテノール歌唱によるシューベルト歌曲およびギター独奏。
テノールのヤン=コボウ氏は昨2008年3月、大阪でバッハ・コレギウム・ジャパンとのバッハ『マタイ受難曲』
公演以来。あのときは、エヴァンゲリスト(福音史家)という大役だったわけですが、埼玉、東京、そして最終公演地である大阪での公演ということもあり、先立つ両地で声を出し切ったのか、声が出てこないところがあり、「がなる」傾向が見受けられ(そのあたりにより「弱い」「表現過剰」だとボクはあのとき捉えたのかも)、
良い印象を受けなかったことは、「BCJのバッハ『マタイ受難曲』 大阪公演 2008年3月22日」記事で記しました。
本公演も川崎、鎌倉、武蔵野ときて最終なので「大丈夫かな~」と心配していたのですが、
まったくの杞憂に終わってしまいました。
大阪での『マタイ』では険しく、いかにも苦しそうに声を出していたコボウ氏とはうってかわって、実にリラックス
した表情で(むろん宗教曲と世俗曲というちがいもあるでしょう)、豊かな表現と伸びやかな美声を聴かせて
くれました。「「シューベルト『美しき水車小屋の娘』(コボウ盤)」記事でも記した通り行き過ぎた感情の表現もなく
スッキリとした歌声なので、本公演でも耳に優しい印象を受けました。
やはり、たった一度の「ナマ」体験で演奏家の実力を判断してはいけないようですね(自戒)。
ギター伴奏とのマッチングですが、村治さんもあまりイヤラシさのない演奏家ですから、コボウ氏の声とは
よく調和するのかもしれませんね。
最初はどんなものかぜんぜん見えてなかったのですが、あまりの嵌り具合にはビックリです!
通常、伴奏はピアノですが、アルペジオの音型が多く、これはやはりピアノよりギターということもあるでしょう。
村治さんの独奏は、メルツの「愛の歌」とシューベルト(タレガ編曲)「楽興の時」の二曲。前者はしっとりと聴かせるロマンティックな楽曲、後者はロシア民謡風のちょっとおどけた舞曲(?)で、第1部のバリバリとは対照的で弾き分けの変化が持たせてあり、よい構成だったと思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/tiento_antiguo/49439608.html |
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