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読書ネット

よぶき
ヨブ記
神を畏れ敬うことこのうえなく深く、道徳的にも信仰においても非の打ちどころのない暮らしを続けて来たヨブに、神は次々と過酷な試練を下した。罪なくして受けねばならないこの重荷の意味を問うてヨブは苦悩する。神の義に人間の義を対決させ問い詰める本書は、旧約中きわだった特色を持ち、文学、哲学等に与えた影響も特に強い。
あらすじ/感想
裕福で信仰心にあついヨブを試す為に神はヨブの財や子供を奪い、皮膚病にした。そのいわれなき試練に信仰心にあついヨブは
「なぜ自分が?」
と、とにかく苦悩する。そこに友人がやってきて彼を叱咤激励するも、彼らの言葉は試練を与えられていない故に当事者のヨブにとってどこか上滑りする。その友人たちの上滑りした説教、そしてヨブの血を吐くような主張の対比が、彼の義を象徴していると感じた。
彼の神を疑う言葉は、神への対抗心だけではなく、神を信じているからこそ、神の真意を問いたいという悲願から来ている。しかし友人はそれを退け、一方的に盲従を強いるのだ。
神はヨブのその義に、どう応えるのか。

宗教だけの話ではなく、このヨブ記はまさに「苦悩」を強いられている人への智慧書ではないだろうか。吉本隆明がこのヨブ記に準えて、東日本大震災の被災者に向けて講演をしたのが記憶に新しい。
ヨブ記を読み、ドストエフスキーは「カラマーゾフの兄弟」を書き、ゴッホは「ひまわり」を描いた、とのこと。

全ての「苦悩」する人にお勧めします。