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食の安全と放射能測定所フォーラム

シンチ結晶とセンサ結合の注意点(反射層)
日付
2013年10月14日(月) 08時44分
お漬け物2号の性能が低すぎで、原因究明のためバラしてみました。得られる光量が期待値の1/3くらいしかありません。回収したセンサをテスト基板に搭載してみても、性能の低さは変わりません。従って問題は、センサ・結晶結合回りにあることがまずわかりました。

結論をいうと、この失敗はシンチ結晶サイドの反射材が浮いてしまっていたことが原因のようです。

今まで結晶とセンサ(フォトダイオード=PD)の結合にばかり気を取られ、反射材のまき付け工程で、(センサと結晶にトラクションがかかることを期待して)結晶の長手方向から巻き始めていたこと、そのあと、短い面にも巻き足したのですが、どうもここでも圧着が甘かったようです。結果として、サイド部分の反射材が浮いてしまい、反射機能激減だったようです。

また、標準テスト用のセンサ個体も、ベストのセンサに比べて若干性能が落ちていました。最初は結晶サイズの差と、結晶のくたびれ方、結晶面の荒れ方の違いだろうと思っていたのですが、念のため、反射材だけまき直したところ、かなり性能向上しました。

というわけで、受光面の貼り付けとともに、反射材の密着は性能に非常に大きく影響します。

テフロンテープを使う場合は、密着状態を確認しながら慎重に巻くことが と て も 大切です。
ここは、可能であればチタン白(二酸化チタン)塗料を直接塗る、あるいは、光学グリスに浸した状態でテープを巻く、などの案が考えられます(いずれもいまてもとに材料がないので実証できていませんが)。

シンチレーション光の検出は、直接光をセンサで受けるというよりも、乱反射させて壁面全体の明かりを見る、間接照明のイメージ、になっているように思います。そのため、反射材の実装方法も大きく性能にはねかえります。

もちろん、この光を効果的にとりこむためには、結晶とセンサの光結合も良好でなければなりません。

接着良好、反射良好、この二つが揃って初めて、高性能の検出器になるわけですね。

接着部分も反射材も、なるべく空気(泡)をはさまないようにすることが、コツなようです。シンチ結晶の屈折率は大抵、非常に大きい(高屈折率のメガネレンズくらいあります)ため、途中に空気層があるとこの境界面で、全反射してしまい、結晶内に光が戻ってしまう率が高くなり、上手に光を外に導けません。シンチ結晶はそれほど透明度が高くありませんから、結晶内で光が反射しつづけると最終的にはロスになります。

効果的に結晶の外に光を取り出すために密着、が非常に重要になってくるのでしょう。
ですから、隙間を作らないような塗装はベスト、また、空気よりかなり屈折率が高い物質で間隙を埋める(光学グリス充填など)もかなり効果的と予想できます。

また、結晶面が荒れていなければテープも容易に密着してくれますので、綺麗な面であれば恐らくテープでもかなり良好な結果になるでしょう。
蛍 袋夫
いままでの経験でいうと・・・

センサが浮いてしまっている場合
【症状】
(重症)
まったく計測しない、放射線にも無反応

(軽症)
・カウントはするが非常にノイズが多い
・エネルギー分布が非常に汚い、思ったようなスペクトラムにならない

【対策】
センサと結晶をつなぎ直し


反射材がうまく働いていない場合
【症状】
・計測信号が小さい。エネルギー校正するとその分、ノイズが高エネルギー領域まで延びてくる
・ノイズは多いがノイズ領域より上のエネルギー領域ではおおむね綺麗なスペクトラムがとれる

【対策】
反射材まき直し、スペクトラムが綺麗でノイズだけ高い場合は、センサ部のつくりなおしはせず、反射材の修正だけでOKな可能性が高いです。

と、受傷箇所により症状が変わってくるようです。


解体してセンサ部を組み直したら今度は予想通りの性能になっているようです。回路を組み込む前に、センサ部分だけはきちんと稼働確認して、それから回路に組み込み~後処理と手順をふまないといけませんでした。反省。

なお、やはり・・結晶サイズが大きいと相対的に光出力は下がる傾向にあります。2ccだと70KeVあたりがノイズフロアになるところ3ccだと80KeVあたりにノイズフロアが上がってきますね。カウント率は3ccの方が高いです。解像度は理論的には小さい方が多少よいでしょう。

空間線量チェック、ホットスポット捜しなら、2cc級がバランス良いように私は思います。最近、2ccの結晶みかけませんが...

ここ、3ccにすると、計測時間は2/3程度に短縮できますが...空間線量率を見るだけなら2ccでも十分高速ですし、スペクトルをじっくりみるなら、1.5倍速になってくれてもかなり時間がかかりますし(また、µSv/h級のもので数百KeV台なら2cc級でも高速でスペクトルの傾向はみえますし)...ここでカウント数が1.5倍になってもあまり得をした気にはなりません。

数百Bq/Kg以下の検体でセシウムの定量をする、とか、そういう目的の場合でしたら、この1.5倍速はかなり意味があると思います。

計測の目的は何かによってバランスのとれるポイントも変わってはきますね。
蛍 袋夫
2013年10月14日(月) 13時26分
反射材と云うのは、ミラー系の物はダメなのかしら?アルミのミラーテープとかミラーフィルムとか、、勿論この手の反射素材は薄いため、透過防止用に黒い物で遮光しなくてはいけないんだけど、黒いプラスチック粘土等で固めてしまうのも(昔は、、粘着系の黒いパテみたいなのが有ったんだけど、、製品名忘れた(* >ω<)ノ"Ωチーン)アリかと思います。または、工具のグリップ等に使う黒いラバー塗料とか、、
ケロジ~
2013年10月14日(月) 20時59分
先人のテスト結果では、乱反射(散光)させる方が、綺麗に反射させるよりも効率が高いと、私も最初は信じられなかったのですが、そういう結論になっています。実際、初期はアルミ箔、銀箔などをつかってみようとしましたが、ダメでした・・・

この白色顔料系がよい、というのは、市井の皆さんの実験でも、高エネ研系の本職の方でも意見が一致しています。

シンチレーション発光は、結晶内で放射線直撃されたところだそうです。シンチでは直撃1回ずつの光をカウントするため、結晶のどこが光ろうとなるべく万遍なく(散光してしまっても)センサに光りが入ってきて欲しいわけですね。

拡散反射してくれる素材ですと、直感的なイメージでいうと、どこが発光源でも、センサ側からみるとまあまあ良い感じで壁面がぼーっと光ってくれる・・・センサ側は光の総量を拾いますので、単位面積がくらくても全体的に光って「見えれば」それでOK。

一方、鏡面反射の場合、条件がよくないとかなり反射を重ねないとセンサに光が届かない、しかも反射回数が多くなれば、結晶の不透明度のせいで加速度的に光が暗くなる。また、発光箇所により、位置の条件が良いところで光った場合と、見にくい場所で光った場合の光量差が多い、などから、計測率も伸びなければ、同じエネルギーの放射線に対するセンサから見た光度も(拡散タイプに比べて)ばらけてしまう・・というあたりが原因と思います。

そういうわけで、反射材は散光する方がよいというのは、ほぼ定説になっているですね。宝石みたいに計算ずくめでシンチ結晶カッティングなんて凄い技を使うのでない限り・・・反射材でなんとかしようというのであれば、銀色より白が圧勝のようです。

一部では、LEDバックパネル用の散光材が良い、という新情報もあります・・が試してみた感じでは散光材とシンチ結晶の隙間がうまくうめられないと却って性能劣化。テフロンテープで十分。
チタンホワイト(二酸化チタン、ごく普通の白色顔料)で塗ってしまうのが拡散方式では一番よさそうです。

ここいらは皆さんのノウハウとダブりますが、(1)結晶 (2) 白いもの(テフロンテープ主流) (3) 黒いもの(自己融着ブチルゴムテープ)で下ごしらえしたものをさらに遮光性のある金属ケースに入れる・・・というのが定番のようです。
蛍 袋夫
2013年10月15日(火) 00時53分
ふうむ、やはり結晶表面が荒れてくると多少、光出力は下がってしまう感じ、大体、2割減くらいまで・・・かな。

ま、これは150KeV以上とかある程度閾値を高めにとってカウントする分には問題にはなりません。低エネルギー部分の見える窓が狭くなっていくですね。 70KeVくらい以上が見えるものが、何度も再利用して傷がついてくると、100KeVくらい以上から見えるようになっていく・・見えている部分については(この例では100KeV以上)カウント率には差はほぼありません。

ということで、まあ、再利用も推進です。磨くとかいろいろ手はあるみたいですが、純粋なCsIならともかく、重金属がドープされている結晶を磨く気にはなりません・・・・
蛍 袋夫
2013年10月15日(火) 00時58分
って事は、蛍光塗料もかなり有力なのではないかしら?
シンチ内での発光が何nmなのかで蛍光材料を選べば一番効率が良いって事にならないかしら、、
シンチ内での発光が紫外線を含んでてくれたらベストなんだけど、、
チタンホワイトに蛍光剤投入で最強にならんかなぁ~(≧▽≦)
ケロジ~
2013年10月15日(火) 19時06分
CsIは可視光領域発光(緑)ですね。そのまま受け取った方が良好です。

蛍光の発光効率、受光素子の波長毎感度との兼ね合いもありますがエネルギー保存則を考えると、蛍光させてトータルの光の量が増えることはないと思います。ただし、紫外線領域など見えていないものを見えることに変換はできるので、受光素子の特性によっては蛍光増強すると感度アップもあるでしょう。

CsIの場合は緑を赤に変換できればとフォトダイオードの感度的には得になります。
しかし緑領域でも赤領域の半分くらいの受光感度があるため、蛍光色素の変換効率が50%以上なければ緑のまま受けた方がお得ですね。

もっとも緑の光を赤に変える蛍光色素は民生用にはないような気がしますが。

オーディオ受けの場合は応答速度はそれほど問いませんので蛍光でも大丈夫だと思いますが、高速読み出しの場合は蛍光発光の時間的遅れが解像度の低下につながる可能性はあると思います。
蛍 袋夫
2013年10月16日(水) 04時34分
反射剤に少しでも利得が有ればと思ったんだけど、ムダなあがき臭いか、、
発光は500~560nm、、って事はフィルムの感光特性に合ってる世界なんだなぁ、、
ケロジ~
2013年10月17日(木) 20時34分
どこかからエネルギーを供給しないと・・絶対的なゲインは物理法則に合いませんねぇ・・・

オーディオアンプの場合は、電源ありきで電気信号増幅、レーザーの場合も外部からエネルギーを供給して光増幅・・

反射材で絶対的なゲインが出たらむしろ怖いですね。

蛍光灯の場合は、見えない領域の紫外線を可視光線に変換しているため、見た目のゲインは大きいのですが・・・エネルギー総量でいえばロスですね。

なお、CsIのピーク発光波長は550nmでかなり扱いやすい領域だと思います。フォトダイオードの感度ピークは950nmあたりですが、550nmでも5~6割の感度があるので波長変換するまでもないかな。

NaIだとピーク波長が310-410nmなのでフォトダイオードには辛い領域ですね。
NaIシンチの場合は短波長領域でも感度が高いフォトマルを使った方が良いでしょう(あるいは蛍光させてフォトダイオード?)。
蛍 袋夫
2013年10月18日(金) 09時58分
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